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ネットで小論文講座 基礎編 第2講 

【言葉の定義はとても重要】

 

§1 みなさんが書いている小論文は、みなさん自身が思っている以上に説明が足りない

 いよいよ、その「内容」とはなんじゃい!ということをお話しするステップに来ました。

 今まで、私は受験生の小論文を1000枚以上は添削してきました。やり始めのときは、それこそ偉そうに先生ぶっていろんなことを教えていましたが、最近は、「今の生徒は何ができなくて、何がわからなくて小論文が書けないのだろう」と、本気で悩むことも増えてきました。というのも、ここまで大量に添削してきて初めて気づくことというものもやっぱりあるわけで、そういう「最近の発見」がむしろ重要なんだなあと、しみじみ感じることが多いからです。その発見とは何か。

「ほとんどの答案は、『説明不足』であるがゆえに合格点をあげられない」

ということです。説明不足さえ解消できれば、かなりの数の答案を合格レベルに持って行くことができると最近はつくづく感じています。それだけ、説明不足な答案が多すぎます。

 そこで、内容についてレクチャーする最初の回である今回は、このことをテーマにしてみたいと思います。

 

 例えば、「『思いやり』について考えるところを述べよ」という問題が出たとして、以下のような答案が書けたとしたら、みなさんはどう評価するでしょうか。高得点が取れる小論文だと思いますか?それとも、高得点は取れない小論文だと思いますか?

『 私は、今の社会には思いやりが足りないと思う。例えば、毎朝学校に行く時も、ウォークマンを両耳につけたまま、猛スピードで走る自転車が、たくさん私の後ろから追い抜いてゆく。私は駅まで歩いて行くので、1日平均20台以上もの自転車に追い抜かれる。そのときに、もう少しで巻き込まれそうになるなど、とても危険な思いをすることも多い。自転車で通学、通勤する人は、歩行者にもっと思いやりを持つべきである。

 やはり、今の日本には、例えば自転車に乗る時も、思いやりの気持ちを持って乗ってほしいと思う。その方が、歩く人も自転車に乗る人も、気持ちよく通学、通勤ができると思う。 』

 

 これでも300字弱あります。もう少し分量が増えれば、「600字程度」の小論文にすぐなりそうです。そこで改めて聞きますが、この文章は、小論文として高く評価できるでしょうか?

小論文は、どの科目よりも「考えること」が重視されます。できれば、自分なりに理由も合わせて考えた上で、下を読み進めることを勧めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

もうちょっと考えた方がよいのでは?(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 はい答えです。この文章は、小論文としては「評価できない」方に入ります(「空気」的に予想できてもダメですよ。「理由」が言えないと)。ただ、自分オリジナルの具体例を使って説明しようとしている姿勢自体は評価できますので、A~Dの4段階評価で言えばCくらいにはなるでしょう。つまり、「論外(と言うほどひどい)=D」ではないが、ほぼ合格(=B)とも言えない、ほとんどの受験生がつけられてしまう「C」という評価です。もちろん、字数制限は与えていないので、この文章例に関しては、字数についての加点、減点は考えていません。

 

 

§2 みなさんの「説明が足りない」のは、「重要な用語」が「定義」されていないという点

 問題は、「なぜこういう文章だと評価されないのか」ということです。それは、タイトルや、私のこういう話の進め方からも推測できるように、「説明が足りないから」です。

 しかし、その「説明の足りなさ」は、「字数が足りないこと」ではありません。一番足りないのは、「思いやりとは何か」ということを説明していないということです。言い換えれば、「重要用語についての定義をしていない」ということです。

※このように、ポイントを外してしまうと、いくら字数が制限内に収まっていても、容赦なくD評価をくらう可能性が十分にあることは、第1講でお話しした通りです。

 言い方を変えれば、小論文で重要な要素の一つ目は、

① 重要用語について、自分なりの定義ができているか。

② その定義が、読み手にもそこそこ納得できる程度の妥当性(≒正しさ)を持つか

 

ということです。何が「重要用語」なのか、についてはまた後で。

 上の文章例に戻りますが、この文章だと、「そもそもあなたは『思いやり』とは何だと考えているのですか」という、読者(=採点者)からのツッコミに、一切答えることができていないのです。

 え?「『読者からのツッコミ』って何?」って?これ、第0講でも出てきましたよね・・・そうなんです。入試の小論文に限らず、今後、大学で単位を取るために書かなければならないあらゆる文章(ミニレポート、レポート、感想文、タームペーパー、卒業論文など)は、「読者からのツッコミ(質問や反論)」を予想し、それに答えるように書かなければ高評価は得られないのです。これについても、後でまた詳しく。

 話を元に戻します。この文章から唯一推測できることは、

・自転車で駅に行く人は、歩いて駅に行く人にできるだけぶつからないようにすること=思いやり

ということです。意地悪く言えば、それ「だけ」しか推測できないのです。

 もっと意地悪く言えば、この人は、自転車に乗っているときに歩行者にぶつからないようにすること以外で、何が「思いやり」なのかを一切説明していません。それなのに、「今の社会には思いやりが足りない」と主張しています。読者としては、「それ以外の『思いやり』が何なのかわからないのに、あなたが『思いやりが足りない』と言っても、言いたいことがよくわかりませんよ」という反応になるわけです。

 

 

§3 「そんなこと、常識でわかれ!」という発想は、小論文ではきわめて危険

 こういう話の進め方・・・よくある、「最近の若い者は!」的なグチと似ている!と思った人はいませんか?そうです。それとそっくりです。例えばこういう文章です。

 最近の若い者はなっとらん!ワシが若い頃は、携帯電話なんぞなかったのだから、歩きながらケータイでしゃべるなんて考えられん!これからは若い者は若い者としての自覚を持って行動してほしいものだ!

 ・・・これを長くすれば、新聞の投書欄などにいかにも出てきそうな文章になります。こういう文章でも、ついつい「携帯電話」という「具体例」があるから、この人は「説得力のあること」を語っているように読めちゃうのかも知れないのですが、小論文の世界では違います。この文章でも、

・「なっとらん」って言うけど、逆に、「なっている」ってどういうこと?「若い者としての自覚」って何?

というツッコミが読者から必ず入ります。さらに、

・歩きながらケータイでしゃべるのは、この人基準ではどうやらダメっぽいけど、電車の中でケータイでしゃべるのはどうなの?いいの?悪いの?

とつっこまれます。実際に、電車の中でケータイでしゃべっているオッサンは、私が見ていても、実にたくさんいますしねえ。「そんなもん『常識』で『ダメ』に決まってるだろ!」などと怒らないで下さい。ここはけっこう大事なところです。現役生でも浪人生でも、あるいは一度社会に出た人でも、小、中、高時代に

「そんなの常識で判断しろ!」

と言われ続けた人はけっこう多かったと思います。他の科目でも、

「言われていないことでも、自ら常識で判断できること=他人より早く先に進めること」

という価値観は「当たり前」だ(った)と思います。そりゃそうでしょう。5つの英単語を5分でとりあえず覚えられる人は、10分かかる人よりも効率が良さそうなので、先に英語の偏差値が上がりそうですもんね?(実際には、10分かかる人の方が「長く覚えていられる」場合もあるので、なかなかどうして、現実は深いですよ)

 でも、「小論文」という科目では、一度そういう「効率主義」を忘れてほしいんです。もちろん、入試小論文にもある意味では「効率」というものもあるし、大まかな「レベル」みたいなものもあるのですが、入試小論文という科目でその段階を登っていくためには、「自分が納得いくまでトコトン考える」という作業が、結局後で振り返ると一番効率が良いのです。

 他科目のように、「要するにここだけ覚えとけばいいんでしょ~?」という気持ちで書いていると、小論文は全く進歩しないどころか、かえって「もっとひどい文章」になってしまうこともときどきあるくらいです。

<中間まとめ>

小論文の勉強においては、「納得いくまでとことん考え抜く」ことを一番大切に。考えた結果を覚えておくというよりも、「こういうところを考えればいいのか」という風に、「考える角度」を覚えておく、そんな気持ちで取り組んでほしいです。

 

 そうなると、結局は「小論文を書く勉強は、1回1時間で終わるときもあれば、アイデアが出なくて5時間かかることもある」なんてこともよくあるということになります。小論文は、他科目のような「効率」で、進み具合を判断することはできないのです。

 したがって、小論文を勉強する日は、その後の時間的スケジュールをゆるめにしておくのがコツです。

 

 さてさて。話がかなり遠回りになりましたが、今話をしていたのは、上記の「若者はなっとらん!」という文章についてでした。

 小論文的な「読者からのツッコミ」は、なかなかおもしろいもので、

歩きながらケータイでしゃべることはダメ」

と書いてあっても、それがすなわち

電車の中でケータイでしゃべることもダメ」

ということを意味しない、そういう考え方でツッコミが入ります。要するに、

・小論文の読者は、いわゆる「常識」を使わずにこの文章にツッコミを入れる。

もっと正確に言えば、

・この文章に書かれていないこと、またはこの文章から推測できないことは 「書かれていないこと」として読者はこの文章にツッコミを入れる。

ということです。しかし、ここで学んでほしいことはそれだけではありません。最初に言った「定義」という角度で言えば、

・この筆者は、「なっていない」または「なっている」の定義をしていない

ということが最重要です。この定義をしていないからこそ、

「歩きながらケータイでしゃべることはダメ」
イコール
「電車の中でケータイでしゃべることもダメ」

なのかどうかが、読者にとってはさっぱりわからないのです。逆に、この筆者が、「なっていない」または「なっている」の定義をしっかり行っていたらどうでしょうか。

 

 最近の若い者はなっとらん!他人の迷惑を考えていないという点でなっとらん!ワシが若い頃は、携帯電話なんぞなかったのだから、歩きながらケータイでしゃべるなんて考えられん!これからは若い者は若い者としての自覚を持って行動してほしいものだ!

 

 口調はさっきと全く同じですが、このように、「なっとらんとはどういうことか」がわかる文が一つ入るだけで、

・「なっとらん」=「他人の迷惑を考えていないこと」

という「筆者が設定したルール(言葉の定義)」が入るおかげで、ここには書かれていない、

「電車の中でケータイでしゃべることもダメ」←なぜなら、これも他人の迷惑になることがほとんどだから。

ということが「読者でも推測」することができます。

 

 どうですか?たった一文、「定義の文」を入れるだけで、読者から見たときに、「筆者は何を言いたいのか」がかなりわかりやすくなるはずです。 その分だけ、説得力も確実に上がっているのです。

 

 そんなわけで、ここまでを第2講とします。まとめましょう。

 

 

<第2講 まとめ>

2-1 自分なりに重要だと思う言葉は、下書きの時に、必ず自分なりに「定義」をしてから使うこと!「定義」という言葉がまだよくわからないという人は、「それは、かみ砕くと、どういうことか」と考えてみると良い。

2-2 言葉を定義することによって、あなたの文章に書かれていないことでも、読者に論理的に推測させることができるようになる。これが、説得力の源のひとつである。あなたの文章を説得力あるものにするためには、「定義」を明確に行うことが、きわめて重要になる。

 

 

 

※表記法一口メモ:『  』は通称「二重カギカッコ」と呼ばれていますが、これは、「  」(カギカッコ)の中に、さらにカギカッコをつけたいときに使います。あとは、本のタイトルを挙げるときにも二重カギカッコが使われますが、後者の使い方は、大学に入ってから知れば良いでしょう。たとえ大学入試の小論文で「  」の内側に「  」を使ったとしても、厳しい大学だとマイナス1点、厳しくない大学だと減点はないと考えて良いです。

 

 

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